暖かい季節、急に運動なんかして大丈夫?

暖かい季節、急に運動なんかして大丈夫?

心臓突然死はスポーツに付き物なのか

 

今年の冬は、寒く、長く、とにかく外へ出たくない、体を動かしたくないと言った日々を過ごしたのではありませんか?

しかし春から初夏へ、暖かいシーズンになると、体を動かす楽しさを思い出し、スポーツを始める人が多くなります。でも冬の間はじっとしていたのに、急に体を動かして大丈夫なのでしょうか。プロの野球やサッカーの選手が突然死したというショッキングなニュースを思い出すと、気になってしまいます。

瞬間死、あるいは症状が出てから24時間以内に死亡することを「突然死」といいますが、日本人で最も多いのは、心筋梗塞など心臓の病気が原因の「心臓突然死」です。ではスポーツをしていると、本当に突然死しやすいのでしょうか。

運動中の突然死は少ないが運動不足の人が急にがんばるのはNG

 

アメリカで、中年層(平均51歳)を対象に12年間かけて行った調査によると、期間内に突然死した1247人のうち、運動中だったのは、わずか63人(5%)でした。この結果から、運動と突然死の関連はないと結論づけられました。

ただ別の調査では、激しい運動をした場合、普段の生活で軽い運動を習慣としている人(週に5回以上)に比べ、ほぼ座ったままの人(運動は週に1回以下)は、急性心筋梗塞を起こす確率が50倍も高くなるという結果でした。

結論としては、運動中の突然死を恐れる必要はないが、運動不足の人の激しい運動は禁物。むしろ軽い運動を習慣にした方が、突然死や心筋梗塞を起こしにくいということになりました。

 

前ぶれなく襲ってくる突然死・急性心筋梗塞急性冠症候群(ACS)を防ぐ軽い運動習慣

「狭心症から心筋梗塞へ」という昔の常識をくずしたACSのしくみ

 

突然死したスポーツマンのチームメートは、決まって「何の前ぶれもなかった」と言います。

昔からの心筋梗塞の説明は、心臓に酸素を運ぶ血管(冠動脈)の中に動脈硬化巣ができ、それが大きくなると血液の通りが悪くなって苦しくなり(狭心症)、やがて動脈硬化巣が酸化して炎症が起こり、破れた血栓が血管を塞いで心筋梗塞になるというストーリーでした。

しかし最近は、「急性冠症候群」(ACS)というケースの方が多いことが分かっています。この場合、動脈硬化巣は血管の内側には進まず、血管壁を外側へ膨らませながら大きくなります。そのため心筋梗塞が起こる直前まで血液の通りは悪くならず、苦しくもない。つまり前ぶれがないので、誰も予測できないのです。

 

突然死を起こさないため生活習慣に取り入れたいこと

 

心臓病を防ぐために、普段の生活に軽い運動を組み込むのは有効です。これは、たとえば30分間の速歩きを毎日やるということです。しかし、あまり高望みをしても長続きしませんから、室内でできるステップ運動などの身体活動を毎日15分だけでも延命効果があるそうです。

動脈硬化巣が破れるきっかけ「酸化」を防ぐには、食事に緑黄色野菜を多くするのも大切です。また補助的な方法として、サプリメントを活用した抗酸化対策も検討してください。抗酸化物質を誘導する「シスタチオニン」や、多くの有効なアミノ酸群を含むマムシ。強力な抗酸化作用がある化合物「グルコシノレート」を補給できるマカなどは、簡単に摂取できますのでおすすめです。


血管の外側に向かって動脈硬化が進む。血流が確保されるため自覚症状がなく、前ぶれがないまま心筋梗塞が起きる。血管の内側で動脈硬化が進み、血流が細くなる(心臓が苦しい)。その後、動脈硬化巣が破れて血栓が血流を止める。心筋梗塞狭心症動脈硬化巣動脈硬化巣血流路血管壁急性冠症候群
(ACS)狭心症から
心筋梗塞へ