「睡眠負債」を貯めない

「睡眠負債」を貯めない

積み重なった睡眠不足が「睡眠負債」として認知症やがんにつながる

季節の変わり目、なかでも「梅雨」の時期は、寝つきが悪くなる人が増えてきます。湿気が高く暑苦しいので寝具をはぐと、今度は体が冷えてくる。そんなことに気を取られ、眠れない自分自身に焦り始めると、さらに眼が冴えてきます。

「睡眠負債」という言葉をよく聞くようになりました。昨年のテレビ番組で紹介されると大きな反応があり、流行語大賞の5位にも選ばれました。日本人の睡眠時間はどんどん減り、いまや7時間寝ている人は26%まで減っています。そして、わずかな睡眠不足でも、借金のように積み重なると、「睡眠負債」として、がんや糖尿病、認知症、脳卒中などの病気を起こすように働くのだそうです。

眠っている間に活性酸素を取りきれば

睡眠負債は溜まらない

睡眠は、日中の活動で疲れた体と脳を休ませるための大切な時間です。では眠っている間に、体の中で何が起こっているのでしょう。

人は酸素と栄養を体内に取り入れて、筋肉や脳を活動させます。目覚めている昼間はエネルギーを生むため、酸素を大量に消費しますから、体内に活性酸素が生まれます。すぐに 抗酸化酵素が体内で作られ、活性酸素の除去に掛かりますが、活性酸素は次々に作られるため、体内に蓄積されて酸化ストレスが炎症となり、疲労してきます。

しかし夜間に充分な睡眠をとれば、抗酸化酵素が活性酸素を除去するので、翌朝は元気に起きられます。そういう生活をしていれば、睡眠負債はほぼゼロといえます。もし活性酸素を除去しきれないと、それは蓄積され、炎症が翌日に繰り越されて睡眠負債となります。

「睡眠負債」は、「活性酸素」の負債です。

蒸し暑さに負けずに、しっかり眠るには。

 

梅雨時が蒸し暑いのは確かですが、いつも熟睡できている人は、それほど苦労しません。夜中まで起きていたり、朝の起床時間が遅い人は、体内時計がずれて寝つきが悪く、眠りも浅くなる傾向があります。

普段の眠りが浅い人は、ちょっとしたことで眠れなくなるので、普段からの生活習慣を見直してください。

寝つきをよくして、睡眠を深くするには、昼間は高く、夜は低くなる体温の動きを利用する方法があります。赤ちゃんは眠いと手足が熱くなりますが、これは手足から熱を逃がし、体温を下げることで熟睡できる状態を作り、活性酸素を作らないようにしているのです。

おとなも、眠るときは体温を急降下させて熟睡するのですが、 半袖+ハーフパンツのパジャマで手足を涼しくすることで、さらに夜間体温が低くなり、より質の良い睡眠を得られるという報告があります。ただし肌寒いと感じたときは寝具で調整を。


活性酸素を蓄積させないため食事などから抗酸化物質を取り入れる

夜の睡眠時間が短かかったり、眠りが浅かったりする人は、体内で作られる抗酸化酵素による活性酸素の除去が充分でない可能性があります。その場合、睡眠を改善する一方で、食事に緑黄色野菜を増やし、食品を通して抗酸化物質を補給して、活性酸素を蓄積させないことが大切です。

また野菜をたくさん食べられない人は、補助的な方法として、サプリメントを活用した抗酸化対策も検討してください。抗酸化物質を誘導する「シスタチオニン」や、多くの有効なアミノ酸群を含むマムシ。強力な抗酸化作用がある化合物「グルコシノレート」を補給できるマカなどは、簡単に摂取できますのでおすすめです。

血管の外側に向かって動脈硬化が進む。血流が確保されるため自覚症状がなく、前ぶれがないまま心筋梗塞が起きる。血管の内側で動脈硬化が進み、血流が細くなる(心臓が苦しい)。その後、動脈硬化巣が破れて血栓が血流を止める。心筋梗塞狭心症動脈硬化巣動脈硬化巣血流路血管壁急性冠症候群
(ACS)狭心症から
心筋梗塞へ