飛鳥山公園から歩く「王子周辺散策」~12月には「熊手市」や「王子狐の行列」も
都内屈指の桜の名所と知られている飛鳥山公園からスタートです。桜のように有名ではありませんが、イロハモミジ74本、オオモミジ11本、トウカエデ22本など、なかなか趣のある紅葉スポットです。そろそろ紅葉も終わりに近づいていますが、近くの王子神社では12月6日に熊手市が開催されます。四季折々の風景が楽しめる風情豊かな王子周辺もぜひ、歩いてみてください。
飛鳥山公園北区を代表する公園として親しまれている飛鳥山公園。八代将軍徳川吉宗が享保の改革の一環として整備・造成を行い、桜が植えられたことをきっかけに、現在に至るまで区内外から多くの人たちが訪れる人気の公園です。
吉宗の治世当時は、花見の時期は風紀が乱れたといいます。このため、庶民が安心して花見ができる場所として、開放時には吉宗自ら飛鳥山に宴席を設け、名所としてアピールを行ったと伝えられています。飛鳥山の花見人気とともに、料理屋や茶屋が立ち並んで、江戸郊外の手軽な行楽地として人気を集めたようです。
桜は、ソメイヨシノ・サトザクラなど約650本が植えられています。また、つつじも約10種・15000株が、さらに、京浜東北線沿いには、あじさいが約1300株植えられています。花・新緑・落葉など樹木の移り変わりを通して、1年の季節を感じてください。
園内には、第一国立銀行や王子製紙などといった企業の設立・経営に関わり、「日本資本主義の父」ともいわれる渋沢栄一の旧邸が残されており、国の重要文化財に指定されています。
明治6年(1873)には上野公園などと共に日本最初の公園に指定されました。
平成の現在も「憩いと出会い」の場として親しまれ、シンデレラ城のようなすべり台やゾウのすべり台などオリジナリティー溢れる遊具や、SLや路面電車の展示など、子供が好きな設備も充実しています。隣接する博物館も3館あり、半日くらいは遊べそうな施設充実の公園です。
標高25.4m(都内で一番低い山)飛鳥山には公園入口から山頂まで、自走式モノレール「あすかパークレール」が片道約2分でつないであります。 しかも、無料で車いすやベビーカーのまま乗車できるので、特にご高齢の方、障害のある方や小さなお子様連れの方などには、とても便利な乗り物です。ただし、お花見の時期はとても混むようです。12月29日から1月3日までを除く毎日運転していますが、保守管理などによる運休があります。モノレール自体は、カタツムリのようにゆっくりのぼっていくので、エスカルゴをもじって、『アスカルゴ』と名付けられたそうです。「あすかパークレール」を利用される方は、JR王子駅中央口が便利です。
★渋沢史料館
渋沢栄一の生涯と事績に関する資料を収蔵・展示し、活動を広く紹介する博物館として、1982年に旧渋沢邸跡に開館。関連イベントなども随時開催。
旧渋沢庭園に残る大正期の2棟の建築「晩香廬」「青淵文庫」の内部公開も行っています。
◆開館時間/【渋沢史料館】10:00~17:00(入館は16:30まで)・【晩香廬・青淵文庫】 10:00~15:45
◆休館日/月曜日(祝日・振替休日の場合は開館)、祝日の代休(祝日・振替休日の後の最も近い火曜日~金曜日の1日)、年末年始(12月28日~1月4日)、臨時休館日(運営上やむを得ず休館することがあります)
◆入館料/【一般】300円・【小中高】100円
※旧渋沢庭園は入園無料です。ただし入園時間は、季節によって変わります。(3月~11月→9:00~16:30・12月~2月→9:00~16:00)
★音無親水公園
自然の川を模した公園で、日本の都市公園百選にも選定されています。春にはお花見、夏には水遊びが楽しめます。
石神井川はこの辺りでは音無川と呼ばれ、古くから景勝の地として親しまれ、「かっての渓流をもう一度」という声に応えることとなり、昭和63年、北区は、この音無橋の下に親水公園を整備しました。
★王子神社
王子権現の名称で江戸名所ともなっていました。非常に高い格式を持ち、東京の北方守護として東京十社に選ばれています。北区指定無形民俗文化財の民俗芸能「王子田楽」を奉納する、8月の例大祭や毎年12月6日に東京最後の酉の市として知られる「熊手市」が有名です。
また、都指定天然記念物の大イチョウ、理容業の神である関神社と毛塚などの見どころもあります。
★王子稲荷神社
東国三十三ケ国稲荷総司の格式を持つ神社で、平安中期頃より当地に鎮座している古社です。
毎年、大晦日の夜に、関東一円の稲荷神社から、大きな木の下で装束を整えて狐たちが集まって、王子稲荷神社を参詣したという伝説が残っています。広重の浮世絵に、木の下に狐が集まる様子と、その木の脇に祀られた社が「装束稲荷」を描いたものがあります。その浮世絵にならって、年末になると、地元の人々による「狐の行列」が行われ、今では北区の冬の風物詩となっています。
また、毎年2月の午の日には江戸時代より凧市が開かれ、火事除けの「火防の凧」が売られています。
また、国認定重要美術品である、柴田是真の描いた絵馬「額面著色鬼女図」と、谷文晁の龍図を所蔵し、正月三が日と2月午の日に公開されています。
★名主の滝公園
江戸時代に王子村の名主、畑野孫八が屋敷内に開いたのが始まりで〈名主の滝〉の名前の由来もここから来ています。庭園として整備されたのは、明治の中頃で、一般に開放されました。
昭和20年4月の空襲により焼失しましたが、昭和35年東京都によって再公開されるようになり、昭和50年には北区に移管され、現在に至っています。
名主の滝は8メートルの落差を有する「男滝」を中心に、4つの滝から成ります。これらの滝とケヤキやエノキ、そして100本余りのヤマモミジが植えられた自然の風景を巧みに取り入れた回遊式庭園です。
★お札と切手の博物館
展示室では、お札、切手、証券など、国立印刷局が製造した各種製品と、明治期以前のお札、諸外国のお札や切手、お札の製造と深いかかわりをもつ銅版画など、様々な資料を展示し、お札の歴史、偽造防止技術などについて解説されています。
(「健康な暮らし」2016年11・12月合併号掲載)
今回も散策MAPはPDFでアップしました!JR王子駅の改札外脇にある「New Days」では、陶陶酒・デルカップの辛口が販売中です。ぜひ、ご利用ください。
王子駅周辺には、気持ち良い散歩ができる自然環境が残っています。これから年末にむけて、12月6日の都内最後の酉の市である王子神社「熊手市」や、12月31日から1月1日にかけて、きつねに扮した人たちが「王子装束稲荷神社」に集まり、行列を成して練り歩いて、「王子稲荷神社」へ参詣する「きつねの行列」に参加、見物に行かれてはいかがでしょうか。