民事再生から20年頑張ったけど、そろそろ限界かもしれないVOL2

民事再生から20年頑張ったけど、そろそろ限界かもしれないVOL2

はい、当社ツイッター中の人Tです。

今回も民事再生になった企業にありがちと思われることを
社内の雰囲気を絡めて話していこうと思います

 

前回の記事はこちら「民事再生になると何が起こるの?」

https://blog.tohtohshu.co.jp/wp/?p=9505
前回は (1)得意先に事実を流される でしたね、さて、今回は

 

 

2)経営方針が直近の回復事例に影響を受けやすい

私達が民事再生した年(2003年)はちょうど大手ハンバーガーチェーンが
従来よりやや高額なハンバーガーやセットの販売を推進して業績回復をしつつあった頃でした ※

民事再生は再生計画書という「これこれこういう風にして当社は立ち直りますよ」
という計画書を裁判所及び債権者様に提出して、債権者様の2/3以上の承認を得て初めて民事再生を開始します

債権というのは要は会社が倒産(民事再生)の時に
払いきれなかった借金のことです
当然借したお金を返してもらえなかった債権者様の目は厳しいです

なので、債権者様方の大半を納得させるためにも
誰でも知ってる大手企業様の成功事例等を踏襲しやすい傾向はあったと思います

で、民事再生の前、当社の主力商品である「第二類医薬品・薬用陶陶酒」
この商品が利益がほぼ出ないことが原因で民事再生したことを踏まえて

当社は新たに薬用陶陶酒の定価を3倍以上にして販売することにしました

定価が3倍ならお客様が3割減っても業績UP間違いなし(´・ω・`)ヤッター

1本売れれば従来の定価の二倍分の利益が出るんですから
利益率の改善は保証されています、これはどこから見ても完璧な再生計画と言わざるを得ません

まして弊社の民事再生理由の一つに利益が出なくなったことが原因にあるので
ここからのV再生、シンデレラストーリーとしても完成されています

さて…では結果はどうなったかというと(´・ω・`)ワクワク

 

 

 

 

 

 

 

取引先は激減、店頭、つまり薬局でも商品がまったく売れず
ユーザー様が大量に離れるという稀に見るほどの最悪な展開になりました(´・ω・`)アルェー

どれだけのユーザー様が商品から離れたかはご想像にお任せしますが
これを受けて当社は半年~1年ほどでこの値上げはすぐにやめました

当時薬用陶陶酒の元の値段は2000円程度
これがまったく中身が変わらず6000円近くになったんですから
はい、まあ、そうですよね…

某ハンバーガーチェーンが当時80円にも満たないハンバーガーに
色々豪華なトッピングをして200円前後で販売した事例と
中身を特に変えず2000円が6000円になるのはわけが違います

財布から500円玉がでるのと5000円札がでるのぐらい違います

今でも覚えてます、お客様に値上げの理由を尋ねられるたびに
「経営方針がですね……利益が……ゴニョゴニョ」とうつむいて話をしていた当時アルバイトの自分を

そして当社がこれはまずい、と判断して
定価を2980円にして再販売したところ、結構な数のユーザー様に戻っていただけました
やっぱり説明できない値上げはするべきじゃないなあなんて皆で話してたのを覚えています

ちなみに今度は急激な値下げの理由を尋ねられて真顔になったのもよく覚えてます(´・ω・`)エッイワナキャダメ?

20年たった今だから黒歴史として笑って書いていられますけど
当時医薬品はインターネットでの商品レビューはほとんどなかった時代です
特に医薬品は何かあったときの賠償金額が凄まじいことになるので
レビュー機能などを企業はまだ避ける傾向がありました

今こんな値上げしたらレビュー欄が大荒れで
ずっと記録に残ったのは予想に難くありませんね(´・ω・`)ホントネ・・・

前回お話した、お店で「陶陶酒?潰れたよ?」
そう店員さんに言われたのはこれも原因だったかもしれないと勘ぐるほどです

さて、ここまで書いて弁明させていただきますと
私どももこの値上げの施策に疑問を持たなかったわけではありません
むしろこの方針に懐疑的な社員、パートの方はたくさんいました

ただ私どもは再生計画書に「経営陣を刷新して企業再生をはかる」
と記載して裁判所に提出して、実際に外部から何人も経営陣に加っていただきました
この値上げの施策は外から来た様々な方の意見に強く影響されてこうなった側面はあります
これは人のせいにするわけではなく、私がこの内容で伝えたいのは

民事再生直後に従来の社員、役員に「経営再建策」に対して反対をする体力は残されてはいない側面はある
ということです、民事再生の過程というのは企業体力を非常に消耗します。
そんな中ようやくこぎつけたリスタートの方針に反対できる人は少なくないのかもしれません
すくなくとも私は当時そうかんじました(´・ω・`)ワタシハネ

もしこの記事を読んでいて、民事再生を検討されている社長様がおられましたら。そういうことがある、
自分のイメージ通りの再建はできるとは限らない、ということを念頭におかれるのはいいかもしれません

さて、話は変わりまして民事再生直後の社内の雰囲気なんですが…

ちょっと今回話しが長くなりすぎましたので次回にさせていただこうと思います
また次回も読んでいただけたら幸いです。それではまた来週(´・ω・`)マタネ!

 

 

 

 

※このことに詳しい方がいると誤解を招くので補足しておきますと
本当の意味では当時この大手チェーンは回復していません。
この前年が過去最悪だったので翌年はそれよりは持ち直してきた、程度の回復のはずです
本当にドラスティックな改革と回復を見せるのはこの数年後ですね
ただ大企業なので少し持ち直しただけでも当時の人には経営改善に映る、という感じでしょうか
歴史的に見るとこの施策で某ハンバーガーチェーンが本当に回復したわけではないので
実際には成功事例でもなんでもないものを当社は真似してドツボにハマった
そう考えると少し歴史の皮肉みたいなものを感じますね

 

第三回はこちら

blog.tohtohshu.co.jp/wp/?p=9567

 

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